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椎名由紀夫の「FXの方程式」

椎名由紀夫

現役ファンドマネジャー、椎名由紀夫氏がタイムリーに提供する「プロの目から見た」相場見通し、ぜひ皆様の投資戦略のご参考としてお役立てください。

リバウンド相場の賞味期限

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イワイFX ウイークリーアウトルック2009年8月17日

 大暴落した相場の1度目のリバウンド相場の期間は概ね5~6ヶ月である。つまり、暴落後のリバウンド相場はスタートから半年間は上がる確率が大きい。この期間は何を買っていても比較的安心できる。

1929年の暴落後のNYダウ(月足)
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ITバブル崩壊後のナスダック(左)と1990年バブル崩壊後の日経平均株価(右)の月足
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 100年に1度と言われる記録的なボラティリティを示現した2008年の株式暴落相場を経て、2009年は世界的な政策総動員の効果で6ヶ月にわたって株式のリバウンド相場が展開されてきた。ここまでは、相場の歴史が教えてくれる教科書通りのリバウンド相場が展開されているといえよう。

NYダウ(月足) 2009年のリバウンド相場
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日経平均株価(月足) 2009年のリバウンド相場
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豪ドル/円(月足) 2009年のリバウンド相場
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 2009年8月は2009年3月から始まった株式のリバウンド相場の6ヶ月目に入っている。筆者は世界のGDPの7%弱の財政出動、2009年3月以降の英・米の量的緩和、リバウンド相場の5~6ヶ月保証を根拠に、基本的に強気の相場見通しを続けてきた。しかし、この先の相場見通しには自信が持てない(バブル崩壊後の相場の大底入れには、概ね30ヶ月程度の時間を要すことを過去の相場は示唆している)。この8月で一番底のあとの半年の上げ保証期間は終わるので、筆者の相場の見通しは強気からニュートラルに変化しつつある。

 リーマンショック以降、相場の悪材料を上げれば切りがないが、それらの悪材料を各国政府・中央銀行はジャブジャブのバブル政策を行うことで封じ込めてきた。日経平均株価がPER40倍~50倍に買われてもバブル環境では肯定されている。中国の景気刺激策(56兆円)に代表される世界のGDPの7%弱の財政出動の効果は、単純に市場価格を押し上げている。自動車業界だけでも既に世界で16兆円の資金が投入されているように、マネーの大量供給で市場の弱気や信用不安を払拭してきたのが2009年3月以降の相場である。

 この意図的なバブル相場の賞味期限を推し量るには米国の量的緩和政策がカギを握ると考えて、筆者はFOMCに注目してきた。国債買い取りプログラムの終了が決定されるか否かが焦点であったFOMCでは、買い取り期間を9月から10月に延期したものの増額はされず、現状では10月に打ち止めに向かうことが示された。市場では金融正常化に向けたソフトランディング路線と評価されているようだが、筆者はこれでバブル相場の“勢い”は削がれたとみている。

 市場の過剰流動性(ジャブジャブ状況)は当面続くことになる。米国債の買い入れは10月まで行われ、住宅ローン担保証券などの買い取りプログラムも年末まで続く。また、ターム物資産担保証券貸出制度(TARF)の期限も9月末まで保証されている。英国は資産買い入れプログラムを増額(3ヶ月延長)しており、ユーロ圏も銀行への資金供給やカバードボンドの購入を続けている。これらの非伝統的な金融政策という“劇薬”がきいているかぎり、市場はハイテンションとなり下方硬直性が働く(売られにくい)。金融危機の後に金融の正常化を急ぐと日本の失敗を繰り返すことになりかねないのは、バーナンキFRB議長も承知している。したがって当面低金利とバブル環境は維持されるだろう。

 だが、米国の国債買い取りの打ち止めは、米国が金融正常化にむけての小さな一歩を踏み出したというサインである。FRBの今後の政策は、国の借金と不景気のバランス取りに移行する。いずれにせよ、上がる確率の大きかった過剰流動性という金融相場の“最もおいしい半年間”が過ぎようとしている。今後の相場がもう一段バブルするかどうかは、経済指標の好転や上げ相場を演出してきた投資銀行やファンド勢がさらにリスクテイクをするかどうかにかかっている。クロス円相場は今後も株次第だが、投資銀行やファンド勢が今後も資源国や新興国への投資を行うか否かで、対ドル相場は大きくトレンドが変わる可能性がある。

 先週のレポートで指摘したドル/円の97円、豪ドル/円の80円が週足終値で維持できなかったので、円安基調は崩れた。今週はドル/円相場が早期に95円50銭を回復しないまま94円30銭を割り込んでしまうと、円高トレンドが発生する可能性がある。調整相場となっている中国株と原油の動向にも注意したい。

原油先物(左)と中国 上海総合指数(右)の日足と移動平均リボン(1~3ヶ月の市場参加者のコスト)
現在、ボラティリティのレベルが高くリスキーな相場環境
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 今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい。

ドル/円 今週の予想レンジ
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ユーロ/ドル 今週の予想レンジ
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ユーロ/円 今週の予想レンジ
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豪ドル/円 今週の予想レンジ
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●円相場の相場変動幅(ATR)の動向(データは2009年8月14日まで)
 ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間は円の売り放置やキャリー取引はリスクが高くなる。

豪ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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ユーロ/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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ポンド/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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