イワイFX&CFDは岩井証券のFXとCFDの取引サイト。テクニカル分析やファンダメンタル解説のレポートが満載。充実のサポートでFXやCFD取引がはじめての方も安心です。

椎名由紀夫の「FXの方程式」

椎名由紀夫

現役ファンドマネジャー、椎名由紀夫氏がタイムリーに提供する「プロの目から見た」相場見通し、ぜひ皆様の投資戦略のご参考としてお役立てください。

バブル相場の賞味期限

|

 

イワイFXウイークリーアウトルック 2009年8月10日

 7月31日、ゴールドマンサックスは「1ドル=105円超のドル高・円安水準を視野に円を売りドルを買う」ことを推奨した。また、同社のチーフエコノミストであるジム・オニール氏は8月7日のFT紙で「Troubling truths behind the yen(円に内在する悩ましき真実)」というレポートを発表した。来年の日本の国家債務残高がGDP 比で200%を超える可能性と米国の対日貿易赤字が1984 年の水準まで減少したことを理由に、「ドル・円相場は、95 円よりも195 円に接近すべきか?」と述べている。現在の円安の長期持続性について筆者は疑問を持っているが、ここにきて市場の一部に中・長期のタームでの円安観測が浮上しているようだ。

 現在のバブル相場は景気が良くてバブルになっているわけではない。経済指標は一部に好転がみられるが、これは低金利・量的緩和と財政出動のダイレクトな影響であり、実態経済に“乗数効果”が及ぶには至っていない。企業業績も好転しているが、景気対策による需要の先食いと時価会計が棚上げのなかでの“数字”なので、その前途はきびしいといえよう。

 今年のバブル相場は官製バブルであり、中央銀行バブルだ。7月31日に発表された日銀の金融市場レポートでは「安定しているようにみえる現在の市場は、中央銀行の非伝統的な政策によって支えられているのであって、市場が正常な状態に戻っているとは言い難い」との認識が示されている。現行のバブル相場は中央銀行の政策に左右されている。

 中央銀行頼みのバブル相場のトレンドを探る上で重要な材料である8月6日の英中銀金融政策委員会(MPC)で、イングランド銀行は「資産買い取りプログラムの規模を500億ポンド(約8兆400億円)拡大し1750億ポンドとする」ことを決定した。これでバブル収縮の2つの懸念材料のうちの一つである英国の量的緩和政策は3ヶ月の延長となり、あとは今週8月11~12日のFOMC待ちとなる。

MPCに対する事前予想は、1250億ポンド(約20兆円)の現行枠がなくなった後、「休止するか・拡大するか」で市場の見方が分かれていた。8月5日のロンドン市場では「BOEは資産買い取りプログラムを休止する」との噂が流れポンドが上昇したが、8月6日の相場は上記の決定をうけポンドは急落した。(これは紙幣の印刷による需給という単純なロジックで現在の相場が動いていることを示唆している)

 現行のバブル相場は2009年3月18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBが向こう半年間で3000億ドル(約29兆円)の国債を買い取る計画を決定したところからスタートしている。3000億ドルの国債の買い取りなどといわれてもピントこないが、簡単に言えば「3000億ドル(29兆円)分のドルを印刷する」ということだ。米国政府がドルをどんどん印刷してくれたおかげで金融市場がジャブジャブになり、現在のバブル相場は成り立っているのである。ドル安・株高・資源高はこの結果である。

    米国債買い取りの累計(上段)と米S&P500株価指数(下段)の推移
    (米国債の買い取りが終了すればドルを印刷しないのでバブルは収縮の方向に・・)
weekly0810_1.gif 現在の株高や金融バブルを延命させるには、米国のリフレ(バブル)政策の持続が必要条件となってくるが、その意味で今週のFOMCは相場の大きなトレンドを決する重要なイベントといえよう。元FRB理事でマクロエコノミック・アドバイザーズ副会長のローレンス・マイヤー氏は8月4日に「FRBが進めている最大3000億ドルの米国債買い取り計画は、予定通り9月半ばで終了となる公算が高い」と予想している。金融バブル相場の一番おいしいところはスタートから半年間である。仮に、米国債買い取りが9月で終了となれば、現在の過剰流動性に大きな変化が生じ、秋には相場の潮目が変わる可能性が大きい。FOMCの決定に注目したい。

 今週は米国で過去最大規模となる総額750億ドルの四半期定例国債入札(11日に3年債370億ドル、12日に10年債230億ドル、13日に30年債150億ドル)が行われる。15日前後の本邦の利金の円転需要と併せて注意が必要だ。先週金曜日は米雇用統計の結果を受けて、強烈な円安相場となったが、米雇用統計での相場のブレイクアウト(レンジ抜け)は上下ともダマシが多い。目先、円安トレンドが継続するか否かは、今週の終値でドル/円は97円、豪ドル/円は80円を維持する必要があるだろう。

今週のドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、豪ドル/円相場は、以下のチャートの「黄色の部分をコア・レンジ」とした上下の緑色の部分までの変動を予想している。黄色のコア・レンジをブレイクすると、緑色のレンジに相場の方向が移りやすい。

weekly0810_2.gifweekly0810_3.gifweekly0810_4.gifweekly0810_5.gif● 円相場の相場変動幅(ATR)の動向(データは2009年8月7日まで)

 ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間は円の売り放置やキャリー取引はリスクが高くなる。

 weekly0810_6.gif

weekly0810_7.gifweekly0810_8.gif
weekly0810_9.gif
 

 

▲このページのトップへ

口座開設/資料請求